こんにちは。宮部です。
12月に入って朝方は10℃を下回る日が続くようになり、徐々に冬なんだなぁと実感するようになってきました。
先日コートも新調し、私自身も冬支度を始めています。
さて、12月に入ってから、私も自宅で朝方だけエアコンによる暖房を使うようになりました。
私の自宅は前職にて建てているので、リグスタイルの断熱仕様とは異なり、
気密性については到底及ばない程度の住宅(建て替えられるなら建て替えたい…)ですが、
パッシブデザインを駆使して建てているので、そこらの住宅よりはるかに性能は良いと自負しています。
そんな自宅なのでいろいろと実験・実測はやりたい放題。
という事で、暖房効率やら表面温度やらPPDやらを計算してみました。
まず先に私の自宅のスペックを簡単にお伝えすると、
規模:木造2階建ての3LDK、延べ床面積95.87㎡(吹抜含む)
性能:UA値0.45W/㎡K、Q値1.89W/㎡K、C値0.5㎠/㎡、熱容量118KJ/㎡K
換気:第三種自然換気
となっています。
(間取りや意匠が気になる方はコッソリお教えします。お問い合わせください♬)
まずこちらの表は、12月5日22:00~12月6日7:00までの10時間の実測データです。
外気温は我が家の外に置いてある室外温度計の採取データ、
室内LDKの室温と相対湿度、内外温度差、エアコンの1時間あたりの消費電力量です。
エアコンは1階の10帖用1台を使用しています。
普段は夜中に暖房を使うことはなく、朝方5:00~8:00の間だけ使用することがほとんどですが、
今回はエアコンの設定温度を19℃で運転していったらどのくらいの消費電力量になるのかな?
というのを知りたくて確認してみました。
平均値で見て見ると、室内温度20.5℃を維持するのに、1時間あたり447Wのエネルギーで済んでいます。
ちなみにこの家で内外温度差11.75℃を維持しようと思うと、
Q値1.89×床面積95.87㎡×内外温度差11.75 = 2,129Wの熱源がなければなりません。
室内発熱(家電や人から発生する熱)が仮に500Wあったとしても、
1,629Wがプラスアルファ必要になります。
私の自宅のエアコン性能は決して良いものではありませんが、
1,629W必要なところを447Wで賄っている計算になります。
これがエアコンの「COP」というものになり、
COP=1629W÷447W = 3.64というエアコン性能であると言えます。
電気代にすると、深夜電力の時間帯でもあるので、
10時間合計で暖房費は約76円となります。
(1KWあたり17円で計算)
ちなみに普段使いの朝5:00~8:00まで暖房を使用する場合、
一時間当たりの電力消費量は約1,400W、7:00時点の室温は19℃前後となります。
3時間で4,200W使用なので、暖房費は約71円。
10時間緩く使っている時と5円しか差がなく、更に室温は1.5℃違う。
これからさらに寒さが厳しくなってきたときを考えると、緩く付けっぱなしの方が得だし、
朝方の快適性が良いのかなと想定できます。
(また1月中旬頃にも検証してみます。)
続いて快適性のお話をしようと思います。
こちらの表は、12月6日 7:00に計測した、各場所の表面温度です。
室温や相対湿度だけでもある程度の体感温度は図れますが、
それ以外にも表面温度や気流、着衣量、代謝率などが異なれば、快適性も異なります。
ちなにみこの時の室温や湿度は1つ目の表のとおりですが、
私が身に着けていた衣類は下着、半袖Tシャツ、上下薄手のスウェットといった感じです。
靴下は履いておりません。この内容の着衣量は1.06cloという数字と単位で表すことが出来ます。
気流についてはエアコンの風が緩くある事と、2階吹抜でサーキュレーターを回していることもあり、
仮に0.1m/sの気流があると仮定します。
代謝率ですが、朝の支度をしているという事もあり、軽作業程度とし、1.2とします。
そして上記の表より、1㎡当たりの平均表面温度が20.21℃です。
これだけの情報が揃うと、「予測不快者率」通称PPDという数値を出すことが出来ます。
12月6日7:00現在の私のPPDは5.9%という結果に。
私と同じ環境下に、同じ状況の方が100人いた場合、寒いと思う人の割合が5.9%という事です。
逆を言えば94人の方は、「寒くない」「暖かい」と感じると言えるわけです。
実際に体感してみて、朝方だけ使用する場合より、連続して緩く付けている時の方が、
室温の差以上に快適でした。今後朝方だけだと寒く感じそうなくらいです。
この様に、実は快適性も数字で表すことが出来ます。
この記事を書いている間に何を言いたいのか私も分からなくなってきてしまいましたが、
なんか宮部小難しい計算してんなくらいで思ってもらえれば結構です。
ですが、こういった実体験と数値がある事で、設計に生かせることもあります。
新しい商品や考え方が出てきたときに、本当に必要か?良いものなのか?
という事を検討するための材料にもなります。
こういった実測から検証をもっと具体的に、分かりやすくまとめた結果が、
パッシブデザイン住宅コンペ大賞受賞、
自立循環型住宅研究会アワード最優秀賞受賞という形で評価して頂けたのだと思います。
最後は私の自慢になってしまいましたが、
こういうマニアックなお話が好きな方、是非一度お話ししましょう♬
岐阜市を中心に、高気密高断熱とパッシブデザインで、注文住宅、新築一戸建てを手掛ける、LIG STYLE COMPANY(リグスタイルカンパニー)の宮部でした!